幻の芋とも称される「種むすめ」はにんじん芋といわれる、断面がにんじんのように真っ赤なサツマイモの出位の一つです。焼き芋にすると、しっとり系といわれる紅はるかのような、ホクホクとねっとりの中間、上品は程よい甘さが特徴です。
種むすめ、にんじん芋という名を聞いたことがないのは、ほとんど市場には流通していないため店頭ではまず見かけない希少種だからです。今回の記事では、種むすめ、にんじん芋についてその特徴と栽培方法などについて説明していきます。
種むすめ(にんじん芋)の特徴とは
種むすめは、サツマイモの種類の一つです。見た目は普通のサツマイモのような紡錘型で、色も茶色〜紫色のおいもです。しかし、断面を見てみると、にんじんのような赤い色をしていることが特徴で、その色のためにんじん芋とも言われています。
栽培に手間がかかる割に生産量が少ないために生産する農家が激減しています。そのため、年によっては全く流通しないこともある大変希少なサツマイモです。店頭に並ぶことはまずないため、通販で購入することになります。
にんじん芋について
種むすめはにんじん芋の一つで、種子島で昔から栽培され食用とされてきました。にんじん芋には、ほかに鹿児島県で栽培される隼人芋という品種や、静岡県で生産されている干しいも用に栽培されている兼六などの品種があります。どの品種も生産農家が減っていることには変わりありません。そして、そんなにんじん芋の中でもとくに希少価値が高いものが、種むすめという品名で販売されているのです。
種むすめの特徴
栽培が難しいにんじん芋の中でも、種むすめはとくに希少価値が高いものとなっています。収穫できる量は安納芋の4分の1程度ともいわれており、なかなか市場にも出回らない幻の芋となっているのです。そのため、ネットなどで販売されている場合には売り切れてしまう前に早めに購入しておいたほうが良いでしょう。
種むすめの栄養素について
種むすめに含まれる栄養の特徴としてβカロテンが豊富に含まれている事が挙げられます。にんじんももちろんβカロテンを多く含んでいますが、種むすめ(にんじん芋)の方が豊富に含まれているのです。
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を強くしたり、免疫力の強化をしたり、アンチエイジングにも効果が期待される栄養素です。
βカロテン以外には、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ビタミンC、食物繊維が豊富です。カリウムは体内の塩分を排出しやすくするため、むくみ解消に効果があります。食物繊維を多く含んでいるためお通じにもよく、便秘解消効果があります。
種むすめ(にんじん芋)の栽培方法
種むすめ(にんじん芋)の栽培は、サツマイモ同様苗作りから始まります。種イモにする芋を冬の間、温かい場所に保管して芽を出させます。
種むすめの芽出し〜苗作り
4月頃には芽を出しているので、軽く土を掘って埋め、苗を育てていきましょう。ひと月ほどで目が育ち苗にすることができるようになります。根は葉の付け根から生えてくるので、2〜3箇所の節(枝分かれしている部分)を残して切り取り苗にします。
種むすめの植え付け
5月〜6月頃が植え付けの季節です。他のサツマイモの栽培同様、畑の畝にビニールシートなどを敷くマルチングを行います。
30cmほどの間隔を開けてマルチに穴を開け10cmほど掘って植え付けします。このとき地面に対して斜めになるように植える「斜め植え」にすることで形良く数を多く収穫する事ができます。植え付けの後1〜2週間のあいだ、根がしっかり張るまでは水やりをしっかり行います。
種むすめの収穫
種むすめの収穫は9月から10月頃、葉が黄色く枯れ始めてきたら収穫時期です。試し堀りで十分大きくなっていたら収穫します。芋は濡れると痛みやすくなるので、晴天が続いた日の午前中に収穫して、風通しの良いところに移動して2~3日ほど乾燥させ、土を落とします。この時水洗いすると痛みやすくなり、乾燥させた意味がなくなるため丁寧に手で落としていきます。
芋には豊富なデンプンが含まれていて、冷暗所などに貯蔵して「寝かせる」ことでこのデンプンが糖に変化していきます。サツマイモ同様、種むすめも貯蔵して甘さを引出していくため、出荷時期は12月~1月ごろになります。
まとめ
種むすめは種子島で栽培されるにんじん芋です。にんじん芋全体としても栽培しているところが少ないことや、出荷されない年もある希少なサツマイモとなっています。種子島の「安納芋専門店 種さん」では安納芋以外にもサツマイモを扱っていますが、この種むすめを購入できる数少ないサイトです。
販売時期は、12月から2月までとしていますが、年によって収穫に差があるためこまめに販売状況を確認して頂く必要があります。丹精込めて作った種むすめ(にんじん芋)をぜひ一度ご賞味下さい。